2026.08.28 メディア

3D CAD設計の現場を動画で公開しました|現地の手書きメモから製作図面まで(前編)

食品製造ラインの偏心角丸シュートを題材に、岩代工業が現地確認から3D CAD設計、製作図面までを進める実際の流れを、約1分35秒の動画にまとめて公開しました。現地の手書きメモが、どうやって「製作できる形」に変わっていくのか——設計の途中経過を、実際の画面と図面でご覧いただけます。

▶ 再生ボタンを押すと、このページのまま視聴できます(約1分35秒)

この動画のポイント完成品の写真ではなく、実際の現地写真・3D CADの操作画面・製作図面をそのまま使っています。設計者が何を見て、何を決めながら形を成立させているのか。ふだん社外にはお見せしない工程の途中を、順を追ってご覧いただけます。

SUBJECT — 何をつくっているのか

上から落ちてくる原料を、2つの経路へ振り分ける部品

題材は、食品製造ラインで使われる偏心角丸シュートです。上層階から流れてくる食品原料を受け、2つの経路へ分け、それぞれの充填機ホッパーの位置へ流します。入口は角、出口は丸。しかも上下の中心がずれている(=偏心している)——名前のとおりの形です。

食品製造ラインの現地写真と、上層階から流れてきた原料を2経路へ振り分ける流れの概念図
動画 0:05 — 現地の様子と、原料の流れをまとめた概念図。まず「何のための部品か」から始まります。

この部品には決まったカタログ品がありません。既設設備の取付位置、上下の口径、接続する高さ、中心のずれ量——すべてがその現場だけの条件で決まります。だからこそ、設計は現地に行くところから始まります。


STEP 1 — 現地確認

設計の出発点は、現地写真に残した赤い手書きメモ

現地写真の上に、取付位置・高さの実測値が赤ペンで手書きされた設計メモ
動画 0:15 — 現地写真に直接書き込まれた実測値。動画では見やすさのためメモ書きを強調していますが、記載内容は変更していません。

動画の前半に出てくるのは、きれいな図面ではなく、現地で撮った写真に赤ペンで数字を書き込んだ状態のものです。図面だけでは分からない条件が、ここに残っています。

0:15

取付位置・高さを、その場で確認
どこに、どの高さで留めるのか。既設のフレームや配管をよけながら決めます。
0:21

上下の口径・接続高さを確認
受ける側と流す側、それぞれの寸法を実測します。上と下で口の形も径も違います。
0:27

既設設備との位置関係を確認
中心がどれだけずれるのか。この「偏心量」が、部品の形をほぼ決めてしまいます。

STEP 2 — 3D CAD設計

取付部から積み上げ、偏心した全体形状を立体で成立させる

現地で得た条件をもとに、3D CADで組み立てていきます。動画では、いきなり完成形を出すのではなくベース → 取付用フック → 全体形状 → 組み合わせという順で、部品が増えていく様子をそのまま収めています。

3D CADの画面上で設計中の、シュート取付部のベース形状
動画 0:33 — まず既設設備に留まる「ベース形状」から。ボルト穴の位置が、現地の実測値そのものです。
取付部と偏心した角丸形状を組み合わせた、偏心角丸シュートの3D CADモデル
動画 0:58 — 上は角、下は丸、しかも中心がずれた形。部品を組み合わせ、現場で使える全体形状に仕上げます。
0:33

ベース形状を作る
既設設備に留まる土台から。ここが決まらないと、上も下も決まりません。
0:40

取付用フックを作る
現場で着脱する部品です。掛けやすさ・外しやすさも設計の対象になります。
0:46

偏心角丸シュートを立体化
寸法と取り合いを確認しながら、角から丸へ、ずれを吸収しながらつながる面をつくります。
0:58

部品を組み合わせる
ベース・フック・本体を合わせ、現場で使える全体形状へ。ここで取付状態と干渉を確認します。

STEP 3 — 製作図面

図面は「設計の出発点」ではなく、立体を製作情報へ整理した成果物

3D形状から起こした製作図面の3つの内容。全体寸法・取付部・部品構成
動画 1:12 — 製作図面に落とし込む3つの情報。全体寸法・取付部・部品構成。案件を特定できる欄はマスクしています。

ここが、この動画でいちばんお伝えしたい部分です。紙の図面を先に描いて、それをCADへ入力する——業界の外からは、そう見えることがあります。しかしこの部品では、順序が逆です。

複雑な偏心形状は、先に立体で取り付けと干渉を確かめることで、形が成立するかどうかを判断できます。その成立した三次元形状から、全体寸法・取付部・部品構成を製作図面へ落とし込む。図面は設計のスタートではなく、立体で成立させた形を、製作と確認に使える情報へ整理した成果物です。
図面に載せる情報 何のために
全体寸法 上下の口径・高さ・偏心量を、製作できる数値として確定する
取付部 既設設備へ確実に留まるよう、穴位置と板の合わせを指示する
部品構成 どの部品を、いくつ、どう組み合わせるかを製作側へ伝える

FLOW — 設計から製作までの流れ

今回の動画は、5工程のうち最初の3つ

現地確認・三次元設計・製作図面・部品展開・社内製作という5工程の流れ図
動画 1:24 — 現地確認から社内製作まで。今回の前編で扱ったのは、左から3つ目までの範囲です。
工程 やること この動画
現地確認 条件を知る(取付位置・口径・高さ・偏心量) 前編で紹介
三次元設計 形を成立させる(取付部・全体形状・干渉確認) 前編で紹介
製作図面 製作情報へ整理する(全体寸法・取付部・部品構成) 前編で紹介
部品展開 板へ戻す(曲げを見込んだ展開図をつくる) 後編で紹介予定
社内製作 加工・溶接・組立 後編で紹介予定

▶ 機械設計・製作についてくわしく

一品一様の装置・治具・搬送部品の設計から製作までの進め方は、読み物ページ「機械設計・製作」でご紹介しています。板金加工そのものについては「精密板金加工」のページもあわせてご覧ください。


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「図面はまだ無い」という段階から、ご相談ください

既設ラインに何かを足したい。でも、寸法も形も決まっていない——そういう案件こそ、現地に伺うところから始めます。岩代工業は、現地確認・設計・板金加工・溶接・組立までを社内の工程としてつないでいます。動画でご覧いただいた設計も、その入口にあたる部分です。

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FAQ — よくある質問

動画についてよくいただくご質問

Q.図面が無くても相談できますか?
A.はい。動画の部品も、出発点は現地写真と手書きメモです。図面が固まっていない段階から、現地確認・採寸を行い、設計としてまとめます。「こういうことがしたい」という用途からご相談ください。
Q.なぜ図面より先に3D CADで設計するのですか?
A.複雑な偏心形状では、先に立体で組んだほうが、取付状態や既設設備との干渉を確かめやすいためです。立体で形が成立することを確認してから、その形を製作図面へ落とし込みます。図面は設計の出発点ではなく、製作と確認に使える情報として整理した成果物という位置付けです。
Q.設計だけを依頼することもできますか?
A.ご相談ください。岩代工業は現地確認・設計から板金加工・溶接・組立までを社内でつないでいますが、どの範囲までをお任せいただくかは案件ごとに調整しています。まずはご要望をお聞かせください(お問い合わせフォーム)。
Q.後編はありますか?
A.今回は「現地確認 → 三次元設計 → 製作図面」までの前編です。この先の「部品展開(板へ戻す)」と「社内製作(加工・溶接・組立)」は、後編として公開を予定しています。
Q.動画に映っている図面や現場は、実際の案件のものですか?
A.実際の案件の資料を使用しています。ただし、お客様を特定できる図面の記載欄はマスクしています。現地写真の手書きメモは、見やすさのために強調していますが、記載内容は変更していません。

※動画中の3D CAD画面はSolid Edge®を使用しています。Solid Edge®は、Siemens Product Lifecycle Management Software Inc.またはその子会社・関連会社の、米国およびその他の国における商標または登録商標です。本動画は、ソフトウェアメーカーによる提供・協賛動画ではありません。
※ナレーション音声はVOICEVOX Nemo(男声1)を使用しています。

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