2026.09.18 メディア

ラインに足す「次の一台」ができるまでを動画で公開しました|見る・つくる・確かめる

ラインを丸ごと入れ替えるわけではない。けれど、このままでは回らない。——設備のご相談は、たいていここから始まります。増産で前後がつながらなくなった。長く使った部分が傷んできた。工程と工程のあいだが、人手のまま残っている。可動部に囲いが無い。
必要になるのは、ラインの一部です。いま動いているラインに足す「あと一台」がどう決まっていくのかを、約1分25秒の動画にまとめました。

▶ 再生ボタンを押すと、このページのまま視聴できます(約1分25秒)

時刻 内容
0:00 導入 同じ一台は、ない。搬送・充填・検査、足す場所の数だけ条件がある
0:10 見る 既設ラインの高さ・距離・取合いを、その現場で寸法にする
0:28 つくる 図面を起こし、切り、抜き、曲げ、溶接し、削る
0:54 確かめる 既設に取り付くか。前後と渡せるか。繰り返し動くか
1:10 まとめ 違う条件に、合わせた答えを

はじめに

「あと一台」は、ラインを丸ごと替える話ではない

工場のラインは、一度に全部が新しくなるものではありません。生産量が上がって前工程が追いつかなくなる。長く動かしてきた部分が傷んでくる。工程と工程のあいだが人手のまま残っている。作業者のすぐ近くに、囲いの無い可動部がある。——そうやって必要になるのは、たいていラインの一部です。

私たちがお引き受けしているのも、その一部です。ラインの延長や増設傷んだ部分の交換工程と工程のあいだに入る受け渡しの一台可動部を囲う安全カバー。動画で「次の一台」と呼んでいるのは設備一式のことではなく、いま動いているラインに足りていない、この一台のことです。

そして、その一台は前と同じ形にはなりません。据える場所が違えば、天井までの高さも、隣の機械との距離も、留める相手も変わるからです。搬送の高さが数十ミリずれているだけで、前後の設備とつながらなくなります。

動画の冒頭で、搬送・充填・検査という3つの現場を並べているのはそのためです。やっていることは近くても、足す場所の条件はそれぞれ違う。「同じ一台は、ない」——ここから話が始まります。

搬送・充填・検査の3つの現場を並べた動画の一場面。足す場所の高さも、隣の機械との距離も現場ごとに違う
動画 0:04 — 搬送・充填・検査。やっていることは近くても、足す場所の高さも、隣の機械との距離も現場ごとに違います。
その現場だけの条件を、動画では4つの言葉にまとめています。既設設備・レイアウト・設置スペース・取合い。この4つが変わるから、用途が同じでも別の一台になります。私たちが「次の一台」と呼んでいるのは、前の一台の複製ではなく、いま動いているラインに合わせて作り直した一台という意味です。

01 見る

図面の前に、まず現場へ行く

ご相談をいただくと、私たちはまず現場に伺います。設備の図面をお預かりしていても、です。足すものは既設のラインに取り付くので、図面に描かれていないことのほうが効いてくるからです。

床が水平とは限りません。想定していた場所に、後から引かれた配管が通っていることもあります。台車が通る導線を空けておかなければ、寸法上は入っても実際には使えません。図面はあくまで設計時点の姿で、いま目の前にあるラインは、そこから何年も動いてきた結果です。

現場で見るのは、大きく3つです。搬送高さ——前後の設備と受け渡す高さが合わなければ、そもそもつながりません。いちばん先に押さえます。設置スペース——据えられる幅と奥行き。通路と、作業する人の動く範囲を残したうえで、使える範囲を決めます。そして取合い——既設のどこに、どう合わせて留めるのか。足す一台は必ず既設のどこかに取り付くので、これが決まらないと形そのものが決まりません。

動画では、測った内容をその場で書き取っていく様子をご覧いただけます。派手な工程ではありませんが、ここで取りこぼした条件は、あとの工程では取り返せません。条件を数字にするところまでが「見る」で、ここが設計の出発点になります。

左に現場の既設ラインの条件、右にその条件に合わせて製作した一台を並べた比較
動画 0:23 — 左がその現場の条件、右がそれに合わせて作った一台。既設のあいだに入るものほど、市販の寸法では収まりません。
動画の中ほどでは、左に現場の条件、右にその条件に合わせて作った一台を並べています。既設の設備と設備のあいだに入るものほど、市販品がそのまま付くことはまれです。合わせて作るところが、私たちの仕事です。

02 つくる

現場で決めた数字が、そのまま加工の指示になる

持ち帰った条件を図面に落とし、そこから先は社内の工程でつないでいきます。動画のこの区間に映っているのは、すべて自社で動かしている設備です。板を切るところから、削り出しまで。

工程 使う設備 拠点
設計 3D CAD(その一台のための図面を起こす) 組立工場
切断 CO2レーザー加工機 福島工場
抜き タレットパンチプレス 福島工場
曲げ ロール曲げ 福島工場
溶接 ステンレスのTIG溶接 福島工場
切削 NCフライス 本社
ロール曲げ機でステンレスの板を円筒形に曲げているところ(福島工場)
動画 0:39 — ロール曲げ(福島工場)。切る・抜く・曲げる・溶接する・削り出す、いずれも自社の設備で行っています。

一品一様の仕事で効いてくるのは、設計と製作が同じ社内にあることです。図面を渡して終わりではないので、作っている途中で「ここは既設と当たりそうだ」と気づけば、その場で詰め直せます。外に出していると、この往復に日数がかかります。

一点ものは、量産品のように試作を重ねられません。だからこそ、現場で決めた数字を誰かが翻訳し直すことなく、そのまま加工の指示として使えることに意味があります。


03 確かめる

作り終わった時点では、まだ終わっていない

寸法どおりにできていても、実際に据えてみると既設と当たることがあります。逆に、単体では問題なく動くのに、前後の設備とつないだ途端に流れが詰まることもあります。足す一台は、既設のラインの一部として働くからです。

ですから最後の章では、取り付くか。渡せるか。繰り返し動くか。——この3つを、実際の動きで確かめています。取り付くかは、既設側と干渉せずに納まっているか。渡せるかは、前の工程から受け取って次へ確実に送り出せるか。そして繰り返し動くかは、一度うまくいくことと、動かし続けられることは別だからです。

既設のコンベアに傾斜シュートを取り付け、干渉せずに納まっているかを確かめているところ
動画 1:03 — 既設のコンベアに傾斜シュートを取り付けたところ。寸法どおりでも、既設に据えてみるまで分からないことがあります。

現場が求めているのは「図面どおりの物」ではなく、明日から止まらずに動くラインです。既設の流れに入って動いて、はじめて一台になります。


これまでの一台

同じ図面が使えることは、少ない

動画の後半では、これまでにお作りしたものを並べています。シュート、ホッパー、スクリュー、安全カバー、タンクと架台。どれもラインの一部です。品目の名前で言えば繰り返し出てくるものばかりですが、形は毎回違います。取り付く相手が違うからです。

シュート・ホッパー・スクリュー・安全カバーなど、これまでに製作したラインの一部を並べた6面の一覧
動画 0:48 — これまでにつくってきた一台。品目の名前は繰り返し出てきますが、取り付く相手が違うので形は毎回違います。

並べてみると、私たちの仕事が何なのかがはっきりします。設備を一式で入れ替えるのではなく、いま動いているラインに足りない一台を成立させる。この積み重ねが、そのまま実績になっています。


ご依頼の流れ

最初のご相談に、図面は要りません

動画は「見る・つくる・確かめる」の3つに絞っていますが、実際のご依頼は次の流れで進みます。入口でお聞きするのは、図面ではなく用途です。「こういうことがしたい」「ここで困っている」——そこから現地確認に入ります。

段階 やること 動画
ご相談 足したいもの・困っている工程をお聞きします
現地確認 既設ラインの搬送高さ・設置スペース・取合いを実測し、条件を寸法にします 見る
設計・製作 図面を起こし、切断から組立までを社内の工程でつなぎます つくる
据付・確認 既設に取り付け、前後とつないだ状態で動作を確かめます 確かめる
お引き渡し 使い方をご確認いただき、必要に応じて手直しします

▶ もう少しくわしく

既設ラインに足す装置・治具・搬送部品の進め方は「機械設計・製作」、板金加工そのものについては「精密板金加工」でご紹介しています。可動部の囲いについては「安全カバー・設備カバー」のページもあわせてご覧ください。


あわせて読む

同じ進め方で作った事例と、設計のくわしい話

製作事例傾斜コンベア周辺パーツの3D設計・製作・動作確認事例既設の傾斜コンベアに合わせて、透明樹脂カバー・製品供給口・ステンレスカバーを設計製作した事例です。この動画と同じく、既設ラインに足す一台を現地の条件から決めています。記事を読む →
動画3D CAD設計の現場を動画で公開しました(前編)この動画の「つくる」章にあたる設計の部分だけを、1本の動画でくわしく追ったものです。現地写真の手書きメモが製作図面に変わるまでをご覧いただけます。記事を読む →


お問い合わせ

「形はまだ決まっていない」段階から、ご相談ください

いま動いているラインに何かを足したい。でも寸法も形も決まっていない——そういう案件こそ、現地に伺うところから始めます。岩代工業は、現地確認・設計・板金加工・溶接・組立・据付確認までを社内の工程としてつないでいます。

ラインに足す一台のご相談はこちら

ラインの延長・増設、傷んだ部分の交換、工程と工程のあいだの受け渡し、可動部の安全カバー、架台まで。用途とお困りごとをお聞かせいただければ、現地確認からご提案します。

お問い合わせフォームはこちら


よくある質問

動画についてよくいただくご質問

Q.図面が無くても相談できますか?
A.はい。動画の「見る」章のとおり、現地に伺って搬送高さ・設置スペース・既設設備との取合いを実測するところから始められます。「この工程をつなぎたい」「ここを囲いたい」という用途だけお聞かせいただければ、条件を寸法にするところは私たちで行います。
Q.前に付けたものと同じ一台を、もう一台お願いできますか?
A.お受けしています。ただし据える場所が変われば、高さも、隣の機械との距離も、留める相手も変わるため、同じ図面がそのまま使えるとは限りません。動画の題名を「次の一台」としているのはそのためで、現地の条件を確認したうえで、必要な範囲を作り直します。
Q.ラインの一部だけ、1台だけでも頼めますか?
A.はい。シュートやホッパー、工程と工程のあいだの受け渡し部、可動部の安全カバー、架台など、ラインの一部だけのご依頼が中心です。装置一式の設計製作もお受けしていますが、この動画でご紹介しているのは、いま動いているラインに足す一台のほうです。「これは頼めるのか」から、お問い合わせフォームでお聞かせください。
Q.加工はどこまで社内で行っていますか?
A.レーザー切断・タレットパンチ・ロール曲げ・ステンレスのTIG溶接は福島工場、NCフライスによる切削は本社で行っています。設計と製作が同じ社内にあるため、現場で決めた条件をそのまま加工へつなげられます。
Q.動画に出てくる数値や画像は実際のものですか?
A.加工設備・装置・製作実績の映像と写真は、いずれも当社で実際に撮影したものです。手元で測っているカットと現場メモのカットはイメージ画像で、画面にも「イメージ」と表示しています。現場メモの数値も条件の書き取り方をお見せするための例で、特定の案件の仕様ではありません。

※ナレーション音声はVOICEVOX Nemo(男声1)を使用しています。

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